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概要
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Morinaga Milk Industry

Morinaga Milk Industry 2264

森永乳業
森永乳業株式会社
直近更新内容
2022年5月17日
「ビフィズス菌BB536」の中国「新食品原料」への登録、および神戸工場における製造棟増築の決定に関して発表
2022年5月13日
新中期経営計画の策定および本社が入居するビルの建替について発表
2022年5月13日
2022年3月期通期決算発表
所在地/連絡先
東京都港区芝5丁目33番1号
https://www.morinagamilk.co.jp/
03-3798-0111
事業概要
同社は2017年9月に100周年を迎えた日本を代表する乳業メーカーである。国内大手3社の1社であり、乳を基本とし、人々の健康に寄与することを目的に事業を営んできた。日本の酪農業に立脚した生乳を起点とする安定した垂直統合による乳製品のバリューチェーンと消費者認知度が高く幅広いBtoC、BtoBの商品群及びブランド力をベースに、黒字体質の収益基盤を長年に亘り維持する。研究開発では、長年、ビフィズス菌やラクトフェリンの研究を進め、時代とニーズの変化に沿った機能性飲料・食品の商品開発で実績を上げてきた。
Food ProductsBeverages
主要な日付
2019年3月26日
カバレッジ開始
フルレポート
2022年5月17日
2022年3月期通期決算発表
2022年5月13日
2022年3月期第3四半期決算・通期業績予想修正
2022年2月9日
2022年3月期第2四半期決算発表
2021年11月11日
2022年3月期第1四半期決算発表
2021年8月12日
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要約

事業概要

同社は2017年に100周年を迎えた日本を代表する乳業メーカーである。国内大手3社の1社であり、乳を基本とし、人々の健康に寄与することを目的に事業を営んできた。日本の酪農業に立脚した生乳を起点とする安定した垂直統合による乳製品のバリューチェーンと消費者認知度が高く幅広いBtoC、BtoBの商品群及びブランド力をベースに、黒字体質の収益基盤を長年に亘り維持する。研究開発では、長年、ビフィズス菌やラクトフェリンの研究を進め、時代とニーズの変化に沿った機能性飲料・食品の商品開発で実績を上げてきた。

事業部門は、主力で、家庭用商品の販売のBtoC事業(2021年3月期連結売上構成比53.1%)、業務用食品、機能性素材の外販を行うBtoB事業(同13.5%)、日本国外での海外事業(同6.4%)と乳児・育児用食品、流動食、健康食品の販売を担うウェルネス事業(同9.5%)の4つからなる。2019年3月期、営業利益、経常利益を3期連続で最高益を更新し、2020年3月期から、2022年3月期を終了年度とする中期経営計画(3か年計画)に取り組んでいる。尚、2021年3月期に、5期連続で過去最高の営業利益、経常利益を更新している。

4つの事業部門の第1の柱はBtoC事業であり、連結売上高の過半である309,995百万円、連結営業利益の56%を占める16,128百万円(2021年3月期実績、以下同じ)を生み出す。酪農家から調達する生乳をベースに、牛乳、ヨーグルト、チーズ、アイスクリームなどの他、チルドカップ飲料、チルドデザートの人気商品も手掛けている。シェアトップのチルドカップタイプコーヒー(2021年3月期シェア42%:マウントレーニアなど)やチルド紅茶飲料(同66%:リプトンなど)などの商品は大変ブランド認知度の高いものとなっている。大手3社間の競争のみならず、牛乳でいえば、500社以上あるといわれるメーカーとの競争がある。多数の競合相手、デフレ圧力が続く食品価格や縮小する全体の市場など、同社を取り巻く環境は厳しい。

2021年3月期の事業分野営業利益率は5.2%(連結営業利益率4.9%を若干上回る)。中期経営計画では、効率的に基幹ブランドに資源を集中するかたちで、拡販と利益率向上に努める。

ウェルネス事業(売上高55,528百万円、連結売上高の9.5%)は、既存の子供向け粉ミルクや、主に高齢者向け流動食のほかに、大人向け粉ミルクや育児用食品などの新市場の開拓を行っている。BtoCから一部商品が移管された(約6,000百万円)。健康、栄養及び機能性機軸のメディカル分野の新商品開発は同社戦略上、重要な位置付けとなっている。事業分野営業利益率6.2%であり、連結営業利益率を超えている。

BtoB事業(売上高78,904百万円)は、大半を占める食品業界への乳関連製品への売上は安定的に維持し、菌体などの機能性素材の販売を強化している。同社が保有する数千株の中から選んだ乳酸菌「シールド乳酸菌」など菌体の販売が好調で、増産体制を強化している。事業分野営業利益率3.3%、連結営業利益率より低い。

海外事業は、パキスタン向けなど粉ミルクの輸出事業を拡大しつつ、ドイツの子会社ミライ(MILEI)社の業容拡大や米国での拡販に努めている。事業分野売上は連結売上の6.4%と小さいものの、中期経営計画においても、強化をテーマとして投資と人材投入を強めている。売上の伸びは高く、合理化のプロセスを経て、今後、売上や営業利益への貢献が期待されている。事業分野営業利益率14.8%、事業部門の中で最も高い収益事業に成長。

中期経営計画では、効率化に集中した前中計もベースに、売上拡大と利益率の改善に努めていく。2022年3月期の数値目標は、売上高500,000百万円、営業利益30,000百万円である。基本方針として、「4本の事業の柱横断取り組み強化による持続的成長」、「経営理念実現に向けたESGを重視した経営の実践」、「企業活動の根幹を支える経営基盤の更なる強化」の3つが打ち出された。同社グループの強みである素材および技術開発力を基礎とする健康栄養機能性分野での4事業の横断的取り組みを強化していく。

業績動向

2021年3月期実績:売上高583,550百万円(前期比1.2%減)、営業利益28,867百万円(同13.8%増)、経常利益30,109百万円(同16.4%増)、当期純利益18,741百万円(同0.5%増)となった。セグメント別では、BtoC事業が前期比1.4%増収、ウェルネス事業同0.3%減収、BtoB事業同18.4%減収、海外事業同18.2%増収。新型コロナウイルス感染症が拡大する中で、BtoC事業における家庭内需要増・健康機能性素材への注目の高まりや、海外事業の売上伸長もあったが、BtoB事業における業務用乳製品の減収、オフィス需要の減少が継続により減収となった。利益面では、減収や償却費増加などのマイナス要因があった一方で、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、海外事業の伸長、コロナ禍におけるグループ全体でのコストの見直しなどにより、前期比13.8%営業増益となった。

同社は2022年3月期より「収益認識に関する会計基準」を適用した。2022年3月期通期実績は、売上高503,354百万円(前期比3.0%増、前期比は2021年3期通期実績に収益認識会計基準を適用して算出、以下同じ)、営業利益29,792万円(同3.2%増)、経常利益31,127百万円(同3.4%増)、親会社株主に帰属する当期純利益33,782百万円(同80.2%増)となった。⾼付加価値商品や健康に貢献する商品の拡⼤により、ヨーグルト・アイスクリームなどが増収となったほか、海外事業の伸長、前期に大幅減収となった業務用乳製品の反動増もあり、増収となった。世界的な需要の高まりや円安の進行などによる原材料価格上昇の影響はあったが、利益率の高い事業や商品の拡大によるプロダクトミックスの改善、海外事業の伸長、BtoB事業の反動増、コスト上昇に対するグループ全体でのコスト見直しなどにより増益となった。

2023年3月期会社予想は、売上高520,000百万円(前期比3.3%増)、営業利益25,000百万円(同16.1%減)、経常利益25,900百万円(同16.8%減)、親会社株主に帰属する当期純利益15,800百万円(同53.2%減)、年間配当予想は90円(同80円)。健康に貢献する商品、高付加価値商品の継続的な拡大、新型コロナウイルス感染症の影響の軽減、海外事業の伸長により売上高は増収となる見通し。営業利益、経常利益、親会社株主に帰属する当期純利益は減益となる見通し。一部商品の価格改定や、プロダクトミックスの改善、BtoB事業などの増収効果、海外事業の貢献などが見込まれるものの、原材料・エネルギー価格の上昇が影響する見通し。

2022年5月、同社は「新中期経営計画 2022-24」(2023年3月期~2025年3月期)の策定に関して発表した。売上高や営業利益などの数値目標については、急激な外部環境の変化を受け、中長期でのコスト影響を適切に算出することが困難であることから公表を延期した。新中期経営計画では、事業の高付加価値化を通じた持続的成長の実現、将来を見据えた経営基盤のさらなる強化、効率性を重視した財務戦略を基本方針とし、社会課題の解決と収益力向上の両立を目指す。

同社の強みと弱み

同社の強みは、1)国内乳業メーカーにおいて、大手3社の一角を占め、幅広い商品群をベースに、長年黒字体質を維持していること、2)中核事業のBtoC事業で、ブランド力の高い多くのトップシェアや有力商品群を有し、安定した利益を生みだしていること、3)長年の乳・機能性素材などの研究をベースにした商品開発力であり、利益率こそ高くないものの、極めて安定した地位を保ってきたことにある。

一方、同社の弱みとしては、1)成長分野としての海外事業の出遅れ、2)牛乳事業の赤字や低収益体質、3)BtoCの販路では、圧倒的存在であるコンビニエンスストアへの売上が限られていることなどが挙げられる。

森永乳業の代表的製品

BtoC事業
ビバレッジ、牛乳
ヨーグルト
アイスクリーム
出所:会社資料
ウェルネス事業
BtoB事業 (機能性・食品素材事業)
海外事業