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概要
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Hosokawa Micron Corporation

Hosokawa Micron Corporation 6277

ホソカワミクロン
ホソカワミクロン株式会社
直近更新内容
2022年5月13日
2022年9月期第2四半期決算・剰余金の配当
2022年3月31日
2022年9月期第1四半期決算レポート更新
2022年2月10日
譲渡制限付株式報酬としての自己株式の処分の払込完了
所在地/連絡先
〒573-1132 大阪府枚方市招提田近1丁目9番地
https://www.hosokawamicron.co.jp/
072-855-2225
事業概要
ホソカワミクロン株式会社は、微粉体関連機器のグローバル・ニッチ・トップメーカーである。グローバルな微粉体関連機器メーカーが提供する製造システムの販売やエンジニアリングなどの市場では、同社の世界シェアは首位で、約3割(出所:同社)を占める。
Machinery
主要な日付
2020年12月25日
カバレッジ開始
フルレポート
2022年5月13日
2022年9月期第2四半期決算・剰余金の配当
2022年5月13日
2022年9月期第1四半期決算発表
2022年2月10日
2021年9月期通期決算発表
2021年11月12日
2021年9月期第3四半期決算発表
2021年8月6日
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要約

事業概要

ホソカワミクロン株式会社は、微粉体関連機器のグローバル・ニッチ・トップメーカーである。グローバルな微粉体関連機器メーカーが提供する製造システムの販売やエンジニアリングなどの市場では、同社の世界シェアは首位で、約3割(出所:同社)を占める。微粉体は、小麦粉からインスタント食品、ファウンデーションなどの化粧品、化学品、樹脂、医薬品、二次電池材料や磁石材料などの電子材料、鉱物材料、自動車部品材料、建材など、幅広い産業分野で利用される。微粉体関連機器とは微粉体を製造する装置群の総称であり、粉砕機*1、分級機*²、混合機*³、集塵機*4、乾燥機*5、造粒機*6、複合化機*7、測定機*8などがある。一般的な粉体関連機器の世界市場は1兆7,900億円程度であるが、同社グループが携わる微粉体関連機器の製造システム販売、エンジニアリング、メンテナンス事業などの高付加価値ビジネスは、世界で200,000百万円前後のニッチ市場である(SR社試算)。

*1粉砕機:固体材料にハンマーやジェットによりエネルギーを加えて、元の大きさよりも小さい粉体を作る装置。
*2分級機:粉体をその大きさによって、大きな粒子のグループと小さな粒子のグループに分ける装置。
*³混合機:複数の粉体をムラなく均一になるように混ぜる装置。
*4集塵機:空気中の粉体粒子を気体から分離し、集めて回収する装置。
*5乾燥機:原料に熱を与えて、湿分を蒸発させ乾粉を取り出す装置。
*6造粒機:圧縮などの力を加えることにより、目的の大きさの粒子を作り出す装置。
*7複合化機:超微細な粉体同士を結合させて新たな物性をもつ複合粒子を作る装置。
*8測定機:粉体の流動性や粗粉の混入量、ぬれ性、帯電量といった電気特性などを測定する装置。

2021年9月期の同社の売上高は60,754百万円(前期比13.6%増)、経常利益は6,574百万円(同31.3%増)であった。2021年9月期のセグメント売上構成比は、粉体関連事業が75.1%、プラスチック薄膜関連事業が24.9%となっている。粉体関連事業は、粉体関連機器の単機およびシステム販売、エンジニアリング、メンテナンス、粉体の受託加工で構成されている。プラスチック薄膜関連事業は、同社が買収したドイツ・アルピネ社が手掛けていた事業であり、空気を吹き込んで膨らませるインフレーション法による高機能フィルム製造装置を製造し、システムエンジニアリングを行っている。

粉体関連事業では、世界最大の粉体関連機器の品揃えを有し、粉体処理プロセスの決定、個々の機器の選定や操作条件の決定、全体のコントロールシステムを含むシステムエンジニアリングを行う。ミクロン単位で粉砕・分級したり、粉体同士を結合させたりする高機能粉体の製造ノウハウを基に、顧客のニーズに応じてコンサルティングを提供する。テストセンターにて顧客の要望するスペックを持つ粉体の製造ノウハウを開発・蓄積し、顧客のニーズに適合する微粉体処理システムを構築するエンジニアリング力を有する。1916年の創業以来、微粉体処理一筋に技術開発を行ってきた同社に比肩する技術力を持つ競合他社は少ないため、高機能粉体を必要とする企業の殆どを顧客としており、顧客社数は25,000社を超えている。こうした特長が、同社の相対的に高い利益率(2021年9月期までの過去3年平均の売上高経常利益率は10.4%と、機械セクター主要50社の平均6.7%を上回っている)の背景となっていると考えられる。

同社グループは、80年代に積極的にグローバルM&Aを実行し、自社よりも企業規模が上回る海外微粉体関連機器メーカー5社を買収し、実質的な世界シェアが約3割を占めるグローバル・ニッチ・トップ企業に成長した。2020年9月期の海外売上高比率は、73.9%を占めている。2020年9月期の地域別売上構成は、欧州が37.8%、日本が26.1%、米州が19.1%、アジア他が16.9%となっている。欧州の事業規模が大きいのは、混合機メーカーのナウタ社(オランダ、1982年に買収)やフリーコ社(オランダ、1983年に買収)、総合微粉体関連装置メーカーのアルピネ社(ドイツ、1987年に買収)が母体となっているためである。米国は、粉砕機や集塵機が主力のUSフィルター社および傘下のマイクロパル社(米国、1985年に買収)が母体となっている。米国やアジアの売上構成比はマクロ経済規模と比較すると低く、今後の販売強化が課題となっている。

同社は技術力を活かし、これまでに多くの新製品を開発してきた。粉砕・分級機では、ミクロン単位の粉体を粉砕により製造するミクロンミルやスーパーミクロンミルなどの超微粉砕機、一定範囲の粒子径の粉体を分級し、複写機用トナーの性能向上に貢献したミクロンセパレータなどがある。その他にも、異なる性質を持つ粉体を複合化する装置である粒子設計装置のメカノフュージョンシステムやノビルタは、二次電池電極材料、その他電磁気材料、化成品、医薬品などで活用されている。

微粉体関連機器は、需要先が化学品、樹脂、食品、医薬品、電子材料、自動車部品材料、建材など多岐にわたり幅広い産業分野で使われることから、業績ドライバーは基本的に民間設備投資である。個別分野では、リチウムイオン電池用の正負極材原料などの二次電池材料や、ネオジムなど磁石材料などの国内の電子材料メーカー向けが、需要のけん引役となっている。

プラスチック薄膜関連事業では、高機能フィルムとして、ゴミ袋やシュリンク包装材などの単層フィルムと、Eコマース用の包装材、食品包装や電子機器類の保護に用いられている多層フィルムの製造にインフレーション法による高機能フィルム製造装置が用いられている。近年、バリア性の高い多層フィルム材料が開発されたことや、Eコマースの急成長により、フィルム需要が拡大している。

業績動向

2021年9月期通期の受注高は69,727百万円(前期比20.9%増)、売上高は60,754百万円(同13.6%増)となった。受注残高は37,184百万円(同36.7%増加)となった。営業利益は6,370百万円(同33.0%増)、経常利益は6,574百万円(同31.3%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,699百万円(同41.7%増)。粉体関連事業・プラスチック薄膜関連事業ともに増収・増益となった。期中の平均為替レートは、米ドル107.50円(前期107.88円)、ユーロ128.50円( 同120.75円)であった。粉体関連事業ではリチウムイオン電池向け、カーボンブラックタイヤリサイクル向け、医療品製造用の細胞培養地向けなどが堅調に推移。プラスチック薄膜関連事業では製品の個別梱包用、ハイバリア・抗菌性フィルムなどが米国を中心に伸長したほか、欧州ではリサイクルしやすいモノマテリアル化が追い風となった。

2022年9月期通期会社予想は、売上高64,000百万円(前期比5.3%増)、営業利益5,600百万円(同12.1%減)、経常利益5,600百万円(同14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,200百万円(同10.6%減)。年末配当は1株当たり70円(2021年10月1日付で1:2の株式分割を実施。分割前の2021年9月期は135円)。為替想定は、対米ドル平均市場レートは108円、対ユーロ平均市場レートは130円。粉体技術におけるナンバーワン企業として、顧客ニーズに合った新技術やシステムエンジニアリング能力を提供していく。同社独自のナノ粒子複合化技術を応用した化粧品や育毛剤を含めたマテリアルビジネスの拡大、プラスチック薄膜関連事業におけるブランド力の強化をより強力に推進する。また、引き続き付加価値の高い新製品・新システムの継続的な市場投入により収益力の向上を図る。

2024年9月期を最終年度とする第17次中期3カ年経営計画で同社が示している戦略は、1)グローバル販売網拡大に向けたグループ連携の強化、2)デジタル革命(DX)による情報一元化、3)産業別マーケティングと製品開発の推進、4)働き方改革と人材育成、5)ESG/SDGsへの取り組みと社会と環境保全への更なる貢献である。

同社の強みと弱み

同社の強みとしては、1)世界最高水準の微粉体加工技術と技術コンサルティング、2)多種多様な微粉体関連機器の品揃えを背景としたエンジニアリング力、3)1980年代に5件の大型案件を成功させたグローバルM&Aのノウハウ、である。一方、同社の弱みとしては、1)米国や東南アジアでの展開の遅れ、2)BtoC事業(化粧品・育毛剤事業)の知名度の低さ、3)財務体質の修復を優先したことによる投資不足、である。

主要経営指標の推移

損益計算書12年9月期13年9月期14年9月期15年9月期16年9月期17年9月期18年9月期19年9月期20年9月期21年9月期22年9月期
(百万円)連結連結連結連結連結連結連結連結連結連結会予
売上高40,69844,95048,51647,34244,66449,51956,85255,38153,49760,75464,000
前年比12.5%10.4%7.9%-2.4%-5.7%10.9%14.8%-2.6%-3.4%13.6%5.3%
売上総利益14,59715,64216,53416,30415,92818,03320,96620,07519,35721,564
前年比9.8%7.2%5.7%-1.4%-2.3%13.2%16.3%-4.2%-3.6%11.4%
売上総利益率35.9%34.8%34.1%34.4%35.7%36.4%36.9%36.2%36.2%35.5%
営業利益3,9073,3863,3692,4503,6575,0456,5415,9184,7916,3705,600
前年比41.9%-13.3%-0.5%-27.3%49.3%38.0%29.7%-9.5%-19.0%33.0%-12.1%
営業利益率9.6%7.5%6.9%5.2%8.2%10.2%11.5%10.7%9.0%10.5%8.8%
経常利益3,8653,5203,4162,6463,7185,2196,6566,0995,0076,5745,600
前年比43.6%-8.9%-3.0%-22.5%40.5%40.4%27.5%-8.4%-17.9%31.3%-14.8%
経常利益率9.5%7.8%7.0%5.6%8.3%10.5%11.7%11.0%9.4%10.8%8.8%
当期純利益2,2082,2502,2942,5242,5303,5724,2054,1823,3174,6994,200
前年比33.7%1.9%2.0%10.0%0.2%41.2%17.7%-0.5%-20.7%41.7%-10.6%
利益率5.4%5.0%4.7%5.3%5.7%7.2%7.4%7.6%6.2%7.7%6.6%
一株当たりデータ(円、株式分割調整後)
期末発行済株式数(千株)17,23117,23117,23117,23117,23117,23117,23117,23117,23117,231
EPS(円)133.4136.0138.7150.8151.1214.5256.8258.1205.0290.1259.2
EPS (潜在株式調整後)(円)133.3135.7138.3150.3150.6213.6255.9257.2204.2289.2
DPS(円)18.024.030.030.035.035.055.055.055.067.570.0
BPS(円)1,2501,5501,7001,8071,7082,0702,2712,2702,5002,829
貸借対照表 (百万円)
現金・預金・有価証券6,1268,2379,91510,01712,64217,44620,08715,86715,44519,943
流動資産合計26,22627,28230,70130,50030,16237,12241,07438,62340,55747,189
有形固定資産14,62317,58318,66217,48015,52817,08618,01218,86821,68122,901
投資その他の資産計1,4501,3381,8492,2581,8452,2892,8282,3172,3472,295
無形固定資産318270254475343341301303595734
資産合計42,61846,47451,46750,71447,88056,84062,21660,11365,18073,119
短期有利子負債3966857011,724987294460142426114
流動負債合計14,28712,91214,32714,15813,19316,65619,19117,64118,02421,562
長期有利子負債3,4182,8543,3441,8021,9021,6571,1961,0401,7721,310
固定負債合計7,6257,8688,9466,2335,9966,2175,7255,6396,5805,617
負債合計21,91320,78023,27320,39119,19022,87424,97123,28124,60527,180
自己資本20,68925,65228,13130,25428,60233,86037,21536,73040,45745,849
純資産合計20,70525,69428,19330,32328,69033,96537,29936,83240,57545,939
有利子負債(短期及び長期)3,8143,5394,0453,5262,8891,9511,6561,1822,1981,424
キャッシュフロー計算書 (百万円)
営業活動によるキャッシュフロー1,2434,2063,5672,4924,2087,2575,3513,1913,9906,087
投資活動によるキャッシュフロー-972-2,271-2,244-1,233659-1,414-1,278-3,048-3,877-2,613
財務活動によるキャッシュフロー-457-825-82-1,273-1,158-2,739-1,119-1,92894-1,687
財務指標
総資産経常利益率(ROA)9.5%7.9%7.0%5.2%7.5%10.0%11.2%10.0%8.0%9.5%
自己資本純利益率(ROE)11.0%9.7%8.5%8.6%8.6%11.4%11.8%11.3%8.6%10.9%
自己資本比率48.5%55.2%54.7%59.7%59.7%59.6%59.8%61.1%62.1%62.7%
総資産回転率99.7%100.9%99.1%92.7%90.6%94.6%95.5%90.5%85.4%87.9%
当期純利益率5.4%5.0%4.7%5.3%5.7%7.2%7.4%7.6%6.2%7.7%
出所:会社資料よりSR社作成
* 同社は、2021年10月1日付で株式分割(1:2)、2017年4月1日付で株式併合(普通株式5株につき1株)を行っており、上記1株当たりデータはそれらを反映している。

業績動向

四半期実績推移

四半期業績推移(累計)20年9月期21年9月期22年9月期22年9月期
(百万円)1Q1-2Q1-3Q1-4Q1Q1-2Q1-3Q1-4Q1Q1-2Q(進捗率)上期会予
売上高13,17026,63038,09753,49713,72927,63143,52160,75415,60132,600100.3%32,500
前期比-6.5%-5.9%-6.3%-3.4%4.2%3.8%14.2%13.6%13.6%18.0%17.6%
売上総利益4,7279,30513,45219,3574,8409,76215,43121,5645,44211,095
前期比-7.7%-9.6%-8.8%-3.6%2.4%4.9%14.7%11.4%12.4%13.7%
売上総利益率35.9%34.9%35.3%36.2%35.3%35.3%35.5%35.5%34.9%34.0%
販管費3,7887,43510,85814,5663,5317,21011,10915,1933,9968,067
前期比5.5%6.0%2.2%2.9%-6.8%-3.0%2.3%4.3%13.2%11.9%
売上高販管費比率28.8%27.9%28.5%27.2%25.7%26.1%25.5%25.0%25.6%24.7%
営業利益9391,8692,5934,7911,3082,5524,3226,3701,4463,028100.9%3,000
前期比-38.7%-43.0%-37.1%-19.0%39.3%36.5%66.7%33.0%10.6%18.7%17.6%
営業利益率7.1%7.0%6.8%9.0%9.5%9.2%9.9%10.5%9.3%9.3%9.2%
経常利益9992,0192,7845,0071,3932,6954,5176,5741,4753,126104.2%3,000
前期比-36.8%-40.0%-34.6%-17.9%39.4%33.5%62.2%31.3%5.9%16.0%11.3%
経常利益率7.6%7.6%7.3%9.4%10.1%9.8%10.4%10.8%9.5%9.6%9.2%
四半期純利益7141,2201,8233,3171,0301,9293,1784,6991,0122,415109.8%2,200
前期比-36.4%-48.4%-39.0%-20.7%44.3%58.1%74.3%41.7%-1.7%25.2%14.0%
四半期純利益率5.4%4.6%4.8%6.2%7.5%7.0%7.3%7.7%6.5%7.4%6.8%
四半期業績推移(四半期)20年9月期21年9月期22年9月期22年9月期
(百万円)1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q(進捗率)通期会予
売上高13,17013,46011,46715,40013,72913,90215,89017,23315,60116,99950.9%64,000
前期比-6.5%-5.3%-7.2%4.6%4.2%3.3%38.6%11.9%13.6%22.3%5.3%
売上総利益4,7274,5784,1475,9054,8404,9225,6696,1335,4425,653
前期比-7.7%-11.5%-7.0%11.0%2.4%7.5%36.7%3.9%12.4%14.9%
売上総利益率35.9%34.0%36.2%38.3%35.3%35.4%35.7%35.6%34.9%33.3%
販管費3,7883,6473,4233,7083,5313,6793,8994,0843,9964,071
前期比5.5%6.5%-5.2%5.1%-6.8%0.9%13.9%10.1%13.2%10.7%
売上高販管費比率28.8%27.1%29.9%24.1%25.7%26.5%24.5%23.7%25.6%23.9%
営業利益9399307242,1981,3081,2441,7702,0481,4461,58254.1%5,600
前期比-38.7%-46.8%-14.4%22.6%39.3%33.8%144.5%-6.8%10.6%27.2%-12.1%
営業利益率7.1%6.9%6.3%14.3%9.5%8.9%11.1%11.9%9.3%9.3%8.8%
経常利益9991,0207652,2231,3931,3021,8222,0571,4751,65155.8%5,600
前期比-36.8%-42.9%-13.9%20.6%39.4%27.6%138.2%-7.5%5.9%26.8%-14.8%
経常利益率7.6%7.6%6.7%14.4%10.1%9.4%11.5%11.9%9.5%9.7%8.8%
四半期純利益7145066031,4941,0308991,2491,5211,0121,40357.5%4,200
前期比-36.4%-59.3%-3.2%25.2%44.3%77.7%107.1%1.8%-1.7%56.1%-10.6%
四半期純利益率5.4%3.8%5.3%9.7%7.5%6.5%7.9%8.8%6.5%8.3%6.6%
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。
事業セグメント(四半期累計)20年9月期21年9月期22年9月期
(百万円)1Q1-2Q1-3Q1-4Q1Q1-2Q1-3Q1-4Q1Q1-2Q
売上高13,17026,63038,09753,49713,72927,63143,52160,75415,60132,600
前期比-6.5%-5.9%-6.3%-3.4%4.2%3.8%14.2%13.6%13.6%18.0%
粉体関連事業10,30520,00929,11640,39310,15720,76032,40645,64311,75023,788
前期比0.2%-3.2%-3.2%-1.6%-1.4%3.8%11.3%13.0%15.7%14.6%
プラスチック薄膜関連事業2,8646,6208,98113,1043,5716,87111,11415,1113,8518,811
前期比-24.7%-13.2%-15.1%-8.5%24.7%3.8%23.8%15.3%7.8%28.2%
その他-3-31-33-38-33-38
営業利益9391,8692,5934,7911,3082,5524,3226,3701,4463,028
前期比-38.7%-43.0%-37.1%-19.0%39.3%36.5%66.7%33.0%10.6%18.7%
粉体関連事業1,1222,0082,8994,5281,1492,3944,0015,9921,3532,656
前期比-7.0%-24.1%-18.4%-14.0%2.4%19.2%38.0%32.3%17.8%10.9%
プラスチック薄膜関連事業1175206491,5984217181,2321,665370970
前期比-79.9%-55.2%-53.9%-12.7%259.8%38.1%89.8%4.2%-12.1%35.1%
その他
全社・消去-300-660-955-1,336-262-2,004-2,344-2,684-277-598
事業セグメント(四半期)20年9月期21年9月期22年9月期
(百万円)1Q2Q3Q4Q1Q2Q3Q4Q1Q2Q
売上高13,17013,46011,46715,40013,72913,90215,89017,23315,60116,999
前期比-6.5%-5.3%-7.2%4.6%4.2%3.3%38.6%11.9%13.6%22.3%
粉体関連事業10,3059,7049,10711,27710,15710,60311,64613,23711,75012,038
前期比0.2%-6.6%-3.2%2.7%-1.4%9.3%27.9%17.4%15.7%13.5%
プラスチック薄膜関連事業2,8643,7562,3614,1233,5713,3004,2433,9973,8514,960
前期比-24.7%-1.8%-20.0%10.2%24.7%-12.1%79.7%-3.1%7.8%50.3%
その他-3-28-2-5---33-5--
営業利益9399307242,1981,3081,2441,7702,0481,4461,582
前期比-38.7%-46.8%-14.4%22.6%39.3%33.8%144.5%-6.8%10.6%27.2%
粉体関連事業1,1228868911,6291,1491,2451,6071,9911,3531,303
前期比-7.0%-38.5%-1.5%-5.0%2.4%40.5%80.4%22.2%17.8%4.7%
プラスチック薄膜関連事業117403129949421297514433370600
前期比-79.9%-30.4%-47.6%124.9%259.8%-26.3%298.4%-54.4%-12.1%102.0%
その他----------
全社・消去-300-360-295-381-262-1,742-340-340-277-321
出所:会社データよりSR社作成
*表の数値が会社資料とは異なる場合があるが、四捨五入により生じた相違であることに留意。

2022年9月期第2四半期累計(上半期)実績(2022年5月13日発表)

業績概要

実績

2022年9月期第2四半期累計(上半期)の受注高は39,661百万円(前年同期比8.1%増)、売上高は32,600百万円(同18.0%増)となった。受注残高は46,605百万円(同24.9%増加)となった。営業利益は3,028百万円(同18.7%増)、経常利益は3,126百万円(同16.0%増)、親会社株主に帰属する四半期純利益は2,415百万円(同25.2増)。粉体関連事業・プラスチック薄膜関連事業ともに前年同期比増収・営業増益となった。

売上総利益率は前年同期比1.3%ポイント低下の34.0%、販管費率は同1.4%ポイント改善の24.7%となり、営業利益率は同0.1%上昇の9.3%となった。

会社予想比

2022年9月期上半期会社計画に対する達成率は、売上高100.3%、営業利益100.9%、経常利益104.2%、四半期純利益109.8%。2022年9月期通期会社計画に対する進捗率(2021年9月期実績に対する前年同期の進捗率)は、売上高50.9%(45.5%)、営業利益54.1%(40.1%)、経常利益55.8%(41.0%)、四半期純利益57.5%(41.1%)。通期会社計画は変更していない。

事業別

粉体関連事業

2022年9月期上半期受注高は28,649百万円(前年同年比16.6%増)、受注残高は31,621百万円(同22.5.%増)となり、売上高は23,788百万円(同14.6%増)となった。セグメント利益は2,656百万円(同10.9%増)となった。

細胞培養培地用途途が好調を持続していることに加え、医薬原体など医薬向けが全般に好調に推移したほか、食品用途として昆虫の乾燥・粉砕装置を北欧向けに受注するなど、食品向けも高水準の受注が続いた。二次電池を中心とした電子材料向けは前年同期からの反動減となったが、化学や鉱産物向け、アフターサービスや受託加工など、ほぼすべての市場・用途で受注増となった。一部主要部材の納品遅れや物流の混乱などの影響が続いており、納期の遅延や不透明化の傾向は今後も続くものと懸念される。

プラスチック薄膜関連事業

2022年9月期上半期受注高は11,012百万円(前年同年比9.0%減)、受注残高は14,984百万円(同30.4%増)となり、売上高は8,811百万円(同28.2%増)となった。セグメント利益は970百万円(同35.1%増)となった。

米国市場においては、引き続きパッケージング用の多層フィルムラインが好調であった。欧州市場ではラミネーション用のフィルムラインや、原料にリサイクルしやすいポリエチレンのみを使ったフィルムラインを受注するなど、多層高機能フィルム製造装置の需要は高水準で推移した。ただし、米国向けに大型案件が続いた前年同期比では受注高は減少した。粉体関連事業と同様に、前期末の繰越受注残高からの売上寄与により増収となったが、サプライチェーンや物流の混乱はさらに混迷を深めており、納期がさらに長期化している。

過去の四半期実績と通期実績は、過去の財務諸表へ

2022年9月期見通し

20年9月期21年9月期22年9月期
(百万円)上期実績下期実績通期実績上期実績下期実績通期実績上期会予下期会予通期会予
売上高26,63026,86753,49727,63133,12360,75432,50031,50064,000
売上原価17,32516,81434,13917,86921,32139,190
売上総利益9,30510,05219,3579,76211,80221,564
売上総利益率34.9%37.4%36.2%35.3%35.6%35.5%
販売費及び一般管理費7,4357,13114,5667,2107,98315,193
売上高販管費比率27.9%26.5%27.2%26.1%24.1%25.0%
営業利益1,8692,9224,7912,5523,8186,3703,0002,6005,600
営業利益率7.0%10.9%9.0%9.2%11.5%10.5%9.2%8.3%8.8%
経常利益2,0192,9885,0072,6953,8796,5743,0002,6005,600
経常利益率7.6%11.1%9.4%9.8%11.7%10.8%9.2%8.3%8.8%
当期純利益1,2202,0973,3171,9292,7704,6992,2002,0004,200
純利益率4.6%7.8%6.2%7.0%8.4%7.7%6.8%6.3%6.6%
出所:会社資料よりSR社作成

2022年9月期会社予想

2022年9月期通期会社予想は、売上高64,000百万円(前期比5.3%増)、営業利益5,600百万円(同12.1%減)、経常利益5,600百万円(同14.8%増)、親会社株主に帰属する当期純利益は4,200百万円(同10.6%減)。年末配当は1株当たり70円(2021年10月1日付で1:2の株式分割を実施。分割前の2021年9月期は135円)。為替の想定は、対米ドル平均市場レートは108円、対ユーロ平均市場レートは130円。

同社は、粉体技術におけるナンバーワン企業として、顧客ニーズに合った新技術やシステムエンジニアリング能力を提供していくとともに、同社独自のナノ粒子複合化技術を応用した化粧品や育毛剤を含めたマテリアルビジネスの拡大、プラスチック薄膜関連事業におけるブランド力の強化をより強力に推進する。また、引き続き付加価値の高い新製品・新システムの継続的な市場投入により収益力の向上を図る。

会社予想の前提

売上高

粉体関連事業の納期は平均6ヶ月(過去の平常ベース)、プラスチック薄膜関連事業の納期は平均11ヶ月(同)であるが、2021年9月期末現在、サプライチェーンの問題でそれぞれ、1~2ヶ月、2ヶ月程度遅れている。売上計上の遅延が完全に解消しておらず、新型コロナウイルス感染症の状況について変異株など不透明なため、期初に過去最高となる受注残高37,184百万円(同36.7%増加)を保有しながらも保守的な計画としている。

営業利益

リスク要因として、以下の3つのコスト増(合計約1,000百万円)を2022年9月期会社予想の前提としている。

  • 新型コロナウイルス感染症流行の回復を前提とした旅費交通費などの経費の増加:約400百万円のコスト増
  • 鋼材をはじめとする原材料価格の高騰:約500百万円のコスト増
  • 大規模展示会への出展(プラスチック薄膜関連のドイツ・K-Showなど):約100百万円のコスト増

前期に営業利益率10.5%を達成したが、2022年2月期会社予想営業利益率は8.8%。新型コロナウイルス感染症流行の回復を前提とした旅費交通費などの経費の増加(前期比400百万円程度増)、鋼材等原材料価格の高騰(約500百万円:後段参照)、大規模展示会への出展再開による費用の増加(約100百万円)など、合計約1,000百万円のコストを織り込んでいる。これらが全てリスクとして発生するわけではなく、リスクが回避できれば、利益の上振れ要因となる。2022年9月期についても営業利益率10%超を目指して努力するとしている。

原材料価格の高騰

原材料価格高騰の影響が500百万円程度あると同社は前提を置いている。同社は、案件を受注すると、例えば、粉体関連事業では6か月かけて製造していく(2か月で設計、残り4か月で製造)。そのため、受注時から2か月後に原料価格が高騰すると、受注時の見積もり価格想定に比べて仕入価格が上昇する。受注残が多い時に、原材料価格が上昇すると、収益性が悪化する。一方、受注残が多い状態で、原材料価格が下落すると、収益性が改善する。

鋼材等原材料価格の高騰に対して、同社は2021年夏場に価格改定を行い2021年5~6月からの高騰分をある程度転嫁できている。しかし、受注時の原材料見積コストと実際の仕入価格との差分を事後的に価格に転嫁することはできない。また、2021年夏場以前の受注分(特に、リードタイムの長いプラスチック薄膜関連事業の受注分)については原材料価格の高騰分全ての影響を受ける。期首受注残として積み上がった案件の中に原材料価格見積額から実際の仕入価格との乖離が乗じる案件があるリスクのほか、更に原材料価格が上昇するリスクを考慮して、500百万円程度の売上原価増を同社は織り込んでいる。

2022年9月期に、再度価格改定を行うか否かについては顧客との交渉になる。顧客も厳しい経営環境にあるため、同社のみが利益の確保に走るのは望ましくないと同社は考えているため、原材料価格上昇分を100%転嫁することではできないであろうと同社は考えている。

設備投資、減価償却、研究開発
  • 設備投資(会社予想):5,000百万円(前期比97.5%);堅調な受注を背景に、米国における受託加工部門(粉体関連事業)の移設、ドイツでの新工場の増設(粉体関連事業およびプラスチック薄膜関連事業)などを行う。また、情報インフラ・デジタル投資なども行う;第17次中期3ヵ年経営計画では年単純平均4,000百万円よりも多い計画となっているのは、前期に新型コロナウイルス感染症を背景に設備投資を抑制した反動
  • 減価償却費(同):1,740百万円(同8.3%増)
  • 研究開発費(同):1,000百万円(同13.6%増)

配当金

年間配当は1株当たり70円。2021年10月1日付で普通株式1株につき2株の割合で株式分割を実施しており、分割前の2021年9月期の年間配当は1株当たり135円(分割考慮後67.5円)であった。

中期経営計画

第17次中期3カ年経営計画(2022年9月期~2024年9月期)

第17次中期3カ年経営計画の目標値

第17次中期3カ年経営計画は、経済環境の不透明感が強い2021年9月期を開始年度とはせず、2022年9月期スタートに繰り下げた。最終年度となる2024年9月期の目標値は、売上高67,000百万円(2021年3月期実績60,754百万円)、営業利益6,700百万円(同6,370百万円)、経常利益6,700百万円(同6,574百万円)、親会社株主に帰属する当期純利益4,700百万円(同4,699百万円)。営業利益率10%。ROE10%以上。為替の想定は、対米ドル平均市場レートは108円、対ユーロ平均市場レートは130円。

株主還元政策

配当性向から総還元性向を基準とした株主還元政策へ方針を変更する。総還元性向30%を目標とし、第17次中期3ヵ年計画(2022年9月期~2024年9月期)の3年間平均で目標30%を必達とすることを明確化した。同社は2021年9月期に至る10年以上前からROE10%、配当性向30%を掲げてきたが、配当性向については2021年9月期までの10年間において1度も達成したことがない。そのため、達成可能な目標として、総還元性向30%としたとのこと。

資本政策

第17次中期3カ年経営計画の期間中(3ヵ年)に獲得する営業キャッシュフローにより、設備投資、有利子負債返済、および株主還元を賄う計画。具体的には、以下を計画している。

2021年9月末保有キャッシュ残高および会社予想キャッシュインフロー(3ヵ年)の合計:37,600百万円

  • 2021年9月末現金及び現金同等物残高約20,000百万円(運転資金が約13,000百万円、余剰資金が約7,000百万円)+3ヵ年で獲得する営業キャッシュフロー17,600百万円)

会社計画キャッシュアウトフロー(3ヵ年)および2024年9月期末会社予想運転資金の合計:37,600百万円

  • 設備投資12,700百万円(年4,000百万円強)、M&Aなどの成長投資5,000百万円、株主還元4,000百万円、有利子負債の返済900百万円、2024年末運転資金15,000百万円

基本方針:Challenge to be Global Standard

定常目標として、同社グループの最先端技術を業界の世界標準へ展開していくことを掲げている。例えば、細胞培養培地向け粉体関連装置などは、同社のシェアが高く、同社がグローバルベースで納品することで、細胞培養培地の製造プロセスを担う世界標準になると同社は考えている。すると、後進国の設備投資においても同社に最初に引き合いがくる。当該基本方針は、同社が、2022年3月期以降3ヵ年のみならず、100年、200年と継続するための指針となる。

基本施策

目標達成に向けて、グループ連携の強化、DX(デジタルトランスフォーメーション)による情報一元化や共有化、産業別マーケティングと製品開発の展開、働き方改革、ESG/SDGsへの取り組みの5つの施策を推進する。5つを関連付けて同じ水準で取り組んでいくことが重要であると同社は考えている。

基本施策1:グローバル販売網拡大に向けたグループ連携の強化

経済成長率の高い中南米やアフリカなどの販売エリアを開拓し、新興国市場への販売を拡大する。

先進国と比較して経済成長率の高い中国や東南アジアなどのアジア市場においてグループ連携を強化し、製品戦略や販売戦略を見直し、販売を拡大する。

同社グループ製品の標準化

既存市場においては、世界の顧客ニーズの標準を把握したうえで、同社製品を顧客に提案していく。同社製品をグローバルベースで標準化していくために、特に中国および韓国企業が、同社グループの欧州、日本、米国のいずれから機器を導入しようとしているかをいち早く察知し、提案できる体制を構築する。韓国および中国企業は、欧州、米国、日本と同等の品質をターゲットに設備投資をすると見込まれるため。中国と韓国でも意思決定は若干異なるため、欧米、米国、日本のどのグループ会社製品がマッチするかをグループ内で見極めて提案していく。

注目市場の1つは、リチウムイオン電池市場。素材メーカーから電池メーカーへ、そして自動車メーカーへといった従前のバリューチェーンに対して、素材メーカーを飛ばして電池メーカーが直接設備投資を行う、あるいは自動車メーカーが直接設備投資を行うという可能性がある。同社はそうした変化に対応していくとのこと。

注目市場のうちもう1つは、中国や米国を中心に需要が伸長する医薬品製造のための細胞培養培地市場。当該市場向けの同社の粉体関連装置・システムはシェアが高く(出所:同社)、同社は同市場における受注拡大に注力していく。特殊分野であり専門性を必要とする加工技術であるため、世界でもその技術を持つ企業は多くないとのこと。

中南米やアフリカを始めとする新興国市場の開拓

一方、新興国市場においては、中南米やアフリカをはじめとする新興国市場を開拓していく。2021年後半より、中南米にも販売拠点を設立している。2022年9月期以降も、販売チャネルを整備し、ポテンシャル顧客を開拓していく。中南米やアフリカに焦点を当てる理由は、それらの地域は鉱物資源を豊富に有することから、鉱物を粉砕して運搬する目的のほか、更に微細な粉体加工を現地で行う、つまりは単なる資源の輸出から付加価値の高い製品の輸出へとシフトしていく新興国の動きを捉えて、販売エリアを拡大する事を同社は考えている。

単機だけでなく製造システムとしての販売促進を行う。同社の強み(粉体、混合など、扱う材料により異なる複数プロセスを一連のシステムで実現する幅広いランナップを有する)を活かす。製造システムの販売により案件の大型化も狙う。従来は、日本、ドイツ、米国などの同社の製造拠点から、附帯設備も一緒に現地に納品していた。しかし、最終的な提案価格が高くなるため、近年は中国や韓国など中心に、現地で附帯設備を手配して納入している。その手法により、営業利益へのネガティブインパクトなしに、販売価格を下げることに成功している。同社は、粉体関連装置のシステムトータルを提供するばかりではなく、メンテナンスや受託製造までを行うことができるため、顧客には同社1社によってニーズを完結できるメリットがある。

国内展開

粉体システム事業本部:周辺装置も含めた案件の大型化を図る。国内においては、50百万円~100百万円程度の案件数により業績が左右されるため、案件数拡大を図る。また、顧客における小型プラントから大型プラントへアップグレードがどの程度の規模になるかを研究開発段階で見極めていく。海外市場において同社ブランドを浸透させ、新規案件を創出していくことにも注力する。

医療測定事業部:粉体システム事業本部に含まれていたプロジェクトチームが組織として独立した。2022年9月期より事業部として機能する。医薬品は粉体システムと比較してレギュレーションが明確であるほか、当事業部の注力案件は50百万円以下であり事業戦略およびマーケティングが粉体システム全体とは異なることが事業部独立の背景。封じ込め技術*、粒子複合化技術**など、高付加価値技術を提案していく。海外グループは、営業体制が分野別となっているが、日本は地域営業が主流であるため、分野別営業体制に移行していく足がかりとして、医薬測定事業部を開設した。医薬は他分野よりも専門性が求められ、医薬の専門知識を持つ営業部員や技術者が担当することで、他分野と差別化している。欧米グループの方が当分野において進んでいるため、海外の納入実績を積極的に国内の顧客にアピールしていく。

*封じ込め技術:薬品が空中に飛散したり、人体に影響を及ぼす薬剤を装置の外に出さない密閉度度の高い装置を実現する技術
**粒子複合化技術:粉をコーティングするイメージであり、例えば苦い薬をコーティングして飲みやい粒を製造するなどの技術

メンテナンス事業本部:顧客が同社装置を長く多く使うことが顧客、同社、環境へのメリットにつながるため、質の高い技術者を増やし、顧客工場における迅速な修理が可能な体制を整備していく。顧客に装置を長期にわたり使ってもらうことで、装置の廃棄の頻度が減少し、廃棄物の削減効果がある。それにより顧客の出費も抑制される。

マテリアル事業本部:自社リソースを化粧品および育毛剤を含めた研究開発に注力していく。同時に、大学や製薬会社との協業なども進める。開発と同時に、海外販路開拓のためのサンプル・資料の作成も進める。ドラッグデリバリーシステム(DDS)製剤の分野で連携するシオノギファーマ株式会社との協業を推進する(GLP*、GMP**に準拠した生産技術を開発)。サステナビリティ対応の包装容器の材質の見直しや、新材料の採用の検討を行う。

*GLP(Good Laboratory Practice):新薬開発時の、動物実験(in vivo)や細胞培養などの試験官内実験(in vitro)などによる前臨床(非臨床)試験において、前臨床試験を行う試験施設の設備・機器、組織・職員、検査・手順・結果などが、安全かつ適切であることを保証する優良試験所規範(基準)
**GMP(Good Manufacturing Practice):医薬品および医薬部外品の製造管理および品質管理の基準

基本施策2:デジタル革命(DX)による情報一元化や共有化による事業拡大の促進

ITグランドデザインを再構築し、市場や顧客、案件、テストデータなどの蓄積された情報を分析し、活用する。

生産システムとIIoTとの融合を進め、遠隔地でのプラント操作を可能とするシステムを構築する。また、粉体処理工程での詳細なデータ取得・分析など、遠隔地の顧客へ付加価値の高いサービスを提供する。テストセンターでの試験結果や測定結果の確認をはじめとしたリモートサービス(リアルタイムコミュニケーション)を提供する。

DXによる情報一元化、標準化、共有化

DX(デジタルトランスフォーメーション)による情報一元化、標準化、共有化による効率化、スピードアップを図る。グループの知見を蓄積・活用するために、グループ内でeラーニングのプログラムを構築する。例えば、日本で何が売れていて、どのような提案をしたら顧客が魅力を感じるか、原料の処理方法など、社内の知見を全員で共有することを開始している。日本およびアジアでは、従来、DX担当者は兼任が多かったが専任にしてスピードアップを図る。

リモートサービスの提供

テストセンターに実際に訪れることなく、顧客がテストセンターでの測定分析や測定結果の確認、出荷検査時での立ち合いなどをリモートで行えるリモートサービス(リアルタイムコミュニケーション)を提供する。同社大阪工場の稼働立ち上がり時期が新型コロナウイルス感染症の拡大時期と重なったため、追加設備投資を行い、出荷検査をリモートサービスを提供できる体制を急遽整えた。

HOSOKAWA GEN4® RM(ジェンフォー・アールエム)

AI、IIoT、およびビッグデータを粉体処理プロセスに組み込み、生産ラインの運転状態の監視や運転データの蓄積ができる同社の独自サービス。中将来的には機械学習により運転データを解析し、生産量増加や消費電力低下などの顧客ニーズに対して、AIで解析し、解決することなどを目指す。顧客の生産ラインにおける生産性向上および効率化に繋げたいとのこと。リモートでのモニタリングについては既に実現し、2022年9月期期初現在、故障予知保全や遠隔による効率運転などの実現を検証中。

基本施策3:産業別マーケティングと製品開発の推進

産業別、原料別の市場調査を深掘りし、集約された情報を製品開発へ展開する。どのような市場で売れるのかを詳細に解明し、あるいは想定した上で製品開発を進める。

グループの研究開発体制と販売体制を再編成し、研究開発の分業体制を強化し、グループ統一の販売基準を構築する。

アプリケーション別製品開発

市場戦略に基づくアプリケーション(用途)別製品開発を行う。アプリケーションの用途を原料別に市場調査・情報集約を行い、集約された情報を使って製品開発へ展開していく。日本およびアジアは、これまで用途別事業部がなかったが、2022年9月期期より医薬測定事業部を発足した(前述)。

マーケティング・オートメーション(MA)による市場動向のデータ化

グループ内で独自に利用していたマーケティングツールを将来的に統合して、全世界のデータをリアルタイムで閲覧可能とし、マーケティングに活用していきたいとのこと。

基本施策4:働き方改革と人材育成

新しい分野や業務へのチャレンジ精神を支援する風土づくりと制度改革を行う。

国際的な人事交流を活発化し、グローバルでオープンマインドな人材の育成に向けたグループ内コミュニケーションの活性化を行う。

新しい分野や業務へのチャレンジ精神を支援する風土づくりと制度改革

同社は20年以上前に経営危機を経験した際、同社のかつての良い文化が破壊されたと細川晃平社長は考えている。希望退職者を募った経緯もあり、守りに入る文化が20年間抜けきっていないと考えており、文化を再醸成することが重要であると考えている。過去10年間での成長過程において、議論や発信ができる風土が徐々に醸成されてきているとのこと。全社でオープンにチャレンジし、破壊された文化の再構築や新生に努める。

人事育成

社内の知識や技術の伝承のため、オンライン研修プログラムを社内や社外で活用する。社内技術伝承に向けた多様な情報のデータ化を図る。日本では、社内インターン制度により将来へのキャリア形成を図る。社内で隣の社員が何をしているかを共有し、若手・中堅社員を中心に、部署異動ではなく、半年、3か月、2週間というプロジェクトベースでのインターンシップにより文化を作っていく。

基本施策5:ESG/SDGsへの取り組みと環境保全への更なる貢献

同社がビジネスチャンスを広げる分野はサステナビリティ、環境への取り組み、社会貢献につながる分野である。同社の事業自体がサステナビリティに貢献できる事業であるため、同社が業績を上げて成長することがサステナビリティにも貢献するという姿を目指したいとしている。

循環型経済に貢献する製品や受託加工サービスを開発するとともに、メンテナンスサービスを展開する。

IIoT技術を活用し、粉体処理システムの稼働の最適化を進め、運転の効率化や省エネを実現する。

IIoT技術を使い、廃棄材料を削減する。

原料粒子の微細化や高機能化を進め、エネルギー効率の改善や脱炭素に貢献するリチウムイオン電池材料向けや、全固体電池材料向け、ネオジム磁石材料向け、太陽電池向けシリコン製造装置原料向けなどの粉体関連技術を開発していく。

メンテナンスサービス事業では、最適なメンテナンスを行うことで、同社製品の性能及び生産効率の維持を目指す。

2020年12月より、測定器を対象に溶剤を使わない粉体塗装を採用している。

生活の質(Quality of Life)向上に貢献する製品やマテリアルとサービスの顧客への提供を行う。

医薬品など(歯科材料、化粧品、育毛剤)のヘルスケア分野の技術開発を推進することで、浸透性や薬効を高めたり、コーティングによる苦みの低減などを実現する。

食品包装向けなどの多層フィルムの素材を単一化し、リサイクルを容易にするフィルムを製造するプラスチック薄膜技術を開発する。

(参考)第16次中期3カ年経営計画(2018年9月期~2020年9月期)

第16次中期3カ年経営計画(2018年9月期~2020年9月期)では、期初時点の2017年10月において、2020年9月期に売上高56,000百万円、営業利益5,600百万円、経常利益5,600百万円、当期純利益3,900百万円の達成を目標としていた。中期3カ年初年度である2018年9月期には売上高56,852百万円と目標を上回ったが、以降の成長が停滞し、2020年9月期の着地は、売上高53,497百万円、営業利益4,791百万円、経常利益5,007百万円、当期純利益3,317百万円となった。計画比未達となった主因は、コロナ禍による出張規制による検収の遅れや、経済環境の不透明化に伴う設備投資の留保などであった。

事業内容

ビジネスモデルの概要

コア事業(BtoB)

同社のコア事業であるBtoB事業として、粉体技術でソリューションを提供する粉体関連事業と、多層構造の高機能フィルム製造装置を製造するプラスチック薄膜関連事業がある。これらに必要な装置の開発、設計、生産、販売、保守、受託加工、測定ビジネスをグローバルに展開している。

粉体関連事業

あらゆる産業で使われている「粉体」

同社が製造する各種の粉体処理装置を用いて生産した粉体は、極めて幅広い産業分野で使われている。代表的な分野として、自動車関連、電池関連、磁石、電子材料、超硬材料、建材、食品、医薬品、化成品、合成樹脂、農業関連など様々な分野における原料や中間品、最終製品になっている。

自動車関連:バンパー、タイヤ、メタリック塗料、セラミックスフィルタ
電池関連:リチウムイオン電池正極材・負極材
磁石:ネオジム磁石
電子材料:シリコン製造用るつぼ、半導体封止材、コンデンサ
超硬材料:工具
建材:鉱物材、石膏、超微粉セメント、充填剤、増量材、塗料材料
食品:米粉、粉末茶、小麦粉、香辛料、でん粉、おから、食物繊維、インスタント食品、健康食品
医薬品:錠剤(口腔内崩壊錠)、散剤(粉薬)、注射剤
化成品:難燃剤、紙おむつ用吸水性ポリマー、トナー、化粧品
合成樹脂:水道管、フッ素コーティング、PETボトル、化学繊維、生分解性樹脂
農業:飼料、肥料、農薬

2021年9月期の同社の受注金額(メンテナンス、受託加工などを除く約46,300百万円)のうち、粉体関連事業が約55%、粉体プラスチック薄膜関連事業が約45%を占める。粉体関連事業の受注金額(メンテナンス、受注加工などを除く)25,500百万円(構成比約55%)を業界別にみると、化学業界が8,000百万円(同約17%)、医薬品業界が4,800百万円(同約10%)、鉱業・金属業界が4,400百万円(同約9%)、電子材料業界が4,300百万円(同約9%)、食品業界が3,300百万円(同約7%)、プラスチック業界が700百万円(同約2%)となる(詳細は後段の「セグメント別事業概要」を参照)。

エンジニアリング能力を持つ粉体関連機器の総合メーカー

粉体の処理は、粉砕*1のみで完結するものではなく、分級*²、混合*³、乾燥*4、造粒*5、集塵*6、供給・排出、輸送、貯蔵など、製造工程の全ての流れにおける技術・製品を整えなければならない。また、これらの製品を使いこなすには粉体材料の性状を計測するための測定機器も必要となる。さらに、粉体は置かれた状態に応じて、固まる、流れる、舞う、凝集する、分散するなどその振る舞いが異なる。このように粉体は、気体や液体と比較して取扱いが非常に難しく、専門的な技術が必要である。

同社グループは、粉体を製造するための粉砕機を製造するだけではなく、分級機、混合機、乾燥装置、集塵装置、造粒装置などの粉体生産システムを形成する主要機器の総合メーカーであり、粉体技術そのものを総合的なシステムとしてエンジニアリングする能力を持っている。

*1粉砕:ある大きさの固体材料に何らかのエネルギーを加えて、元の大きさよりも小さくする操作のことである。粉砕によって固体材料の大きさが小さくなると、その固体の表面積が大きくなり工業プロセスでの効率を高めることができる。粉砕の別の目的として、いくつかの成分を含んだ塊では、成分ごとに粒子の大きさが異なる場合があり、それを小さくすることによって必要な成分を選択的に取り出すこと(分級)ができる。また、いくつかの材料を混ぜる(混合)時には、大きな塊を混ぜるよりも一粒の大きさを小さくして混ぜる方が均一になる。

*²分級:粉体をその大きさによって、大きな粒子のグループと小さな粒子のグループに分ける操作のことである。粒子の大きさを揃えることによって粉体の性質が変わるので、その特徴を活かして性能・品質を向上させるなど、製品の付加価値を高めることが分級の目的である。
固体材料にエネルギーが加えられて発生した微粉は、一般的に粒子径分布の幅が広い。粉砕を続けると粒子径は細かくなっていくが、細かい粒子をさらに細かくするためには非常に大きなエネルギーが必要であり、目的とする粒子径に達した粒子をいち早く機外へ取り出すことが粉砕効率を高める良い方法である。粉砕工程における分級のプロセスは、細かくなった粒子だけを取り出し、粗いものは装置内に滞留させて粉砕をすることである。そのためには、粉砕機自体に優れた分級機構を持たせることが効果的であり、分級機構を持つ粉砕機が多く製造されている。一方、細かすぎる粒子は凝集性が高く、ダマになりやすく扱いにくい。これを防ぐために細かい粒子を取り除く目的でも使用される。

*³混合:複数の粉体をムラなく均一分布になるように混ぜること。

*4乾燥:原料に熱を与えて、湿分を蒸発させ乾粉を取り出す操作。粉粒体の温度調整にも利用される。

*5造粒:微細粒子を凝集させて粒状にしたり、圧縮して粒を作る操作。ハンドリングの利便性を高める効用もある。

*6集塵:空気中の粉体粒子を気体から分離すること。装置内の気流中に浮遊する粉体を回収する。粉体プロセスを用いる現場では、発塵によって作業環境や外部環境を悪化させる恐れがあるため、集塵は必須となる。また、粉砕、分級、乾燥などの工程における製品の捕集のためにも重要な手段となっている。さらにごみ焼却場などでは周辺の環境保全のため、飛灰の集塵は必須である。

海外有力メーカーと積極的な技術提携を締結

同社は、各種の粉体関連機器を独自開発することに加え、歴史的にナウタ社やパルべライジング・マシナリー社などの海外の有力メーカーと技術提携を積極的に結ぶことにより、粉体処理に関する技術分野全域において高度な技術や製品群をラインアップし、粉体機器の総合メーカーとしての基盤を確保してきた。

システムエンジニアリングサービスを提供

さらに、それらシステム全体で高性能かつ省エネで効率的な粉体処理を行うには、高度なエンジニアリング力が必要となる。創業以来、同社はテストセンターでの膨大な試験に関するデータや納入実績を蓄積し続けている。粉体処理プロセスの決定、個々の機器の選定や操作条件の決定はもとより、全体のコントロールシステムを含むシステムエンジニアリング力を備えている。

テストセンターで実証・分析

同社グループの営業手法は売り込みではなく、顧客からのニーズに応えるスタイルが中心となっている。「このような粉体をつくれる機械はないか」と問い合わせがあると、要望通りの粉体ができるかどうかを、自社のテストセンターで小型機を使って実証試験する。このソリューション技術は世界随一、最先端の水準にある。

「粉体技術連峰」

細川益男元社長は、このような同社の技術の姿を「粉体技術連峰」と名付けた。粉体関連機器の多種多様な主力機種や技術は高い峰々であり、それらを取り巻く様々な周辺機器やノウハウなどを含むシステムエンジニアリング力が裾野となって広がり、より高くより雄大な連峰を形成している。この考え方は、同社の経営戦略のバックボーンとなっており、プロセス機器やシステムエンジニアリング、新素材の開発、製造、実用化を推進し、次世代先端産業を創出していく方針である。

研究開発

同社は研究開発型企業として、延べ取得特許は国内339件、海外117件の実績を持っている。産学連携、シンポジウムや講演討論会の主催、「粉砕」誌や「KONA」誌などの粉体技術専門誌の発刊にも取り組んでおり、研究者との強固な関係を構築していることも競争優位性につながっている。

競合状況

同社によると、同社の競合となる企業としては、粉砕機や混合機、乾燥機など装置別に特化した専門企業があるのみであり、世界的に見ても当社のような研究開発力やエンジニアリング力もある業態を持つ粉体装置の総合企業は存在しないとのことである。

事業領域

同社グループの事業領域は、特定の市場に依存するのではなく、幅広い産業分野における最先端材料の開発や加工にかかわる分野である。近年、市場拡大が進む二次電池材料などは注力市場の一つではあるが、当社にとってはトナー、磁性材料、樹脂、食品、医薬などの幅広い粉体市場の一分野に過ぎない。注力市場は特定業種で区切るのではなく、粉体市場の中でも高度な技術が求められるハイエンドな分野や、既存の市場範疇を超えた新たな技術需要の分野だと同社では認識している。

プラスチック薄膜関連事業

様々な最終需要

同社が製造する各種のプラスチック薄膜製造装置を用いて生産したフィルムは、幅広い産業分野で使われている。代表的な例として、包装フィルム、食品用バリアフィルム、電子機器保護フィルムなどがある。

これまでに開発した独自技術

ミクロンミル

同社が1930年に開発した微粉砕機。粉砕の基本原理である衝撃、圧縮、せん断の三つの機能を併せ持った独自の構造を持つ微粉砕機で、世界に例を見ない画期的な製品であった。1931年に特許を取得し、1号機は桃谷順天館に納入され、おしろい原料の粉砕に用いられた。

スーパーミクロンミル

同社が1951年に開発した微粉砕機。ミクロン単位の粉体を得る微粉砕機の決定版となった装置である。スーパーミクロンミルは、ミクロンミルの粉砕室を二段複合させて能力を増大させるとともに、粉砕効率の低下をもたらす原料中の不純物や異物を粉砕と同時に選別・除去する新開発のノズル式分離機構を取り付けたものである。原料を効率的に微粉砕しながら製品の純度を高めることに成功した。「分級機能を備えた微粉砕機」として特許を取得した。

ミクロンセパレータ

1955年、細川益男専務(当時)と京都大学の松山卓蔵助教授(当時)の共同研究により開発された分級機。スーパーミクロンミルと同時期に開発された。広い粒子径分布を持つ原材料の中から、一定範囲の粒子径の粉体を空気流によって選別する高性能分級機である。発売当時は同等の精度で分級できる装置は他になかった。ミクロンセパレータは、微粉分級機として単独で活用することもあるが、スーパーミクロンミルをはじめとする各種粉砕機と組み合わせれば、効率的な粉砕・分級システムが構築できる。国内をはじめ、欧米6か国で特許を取得した。スーパーミクロンミルとミクロンセパレータという二大発明が、数年後の欧米有力メーカーとの技術提携契約締結の基盤となった。

超微粉砕機「オングミル」

1984年に同社が開発したシステムである。今日のナノパーティクルテクノロジーの草分け的存在である。当時の回転式衝撃摩砕機や気流式微粉砕機(ジェットミル)では、いかに大きな動力を用いても、平均粒子径で2~3ミクロン程度を得るのが限界であった。通常の粉砕機は、固定されたケーシングの中で粉砕ロータを回転させるが、オングミルは逆にケーシングを高速回転させて、原料粉体を遠心力でケーシング内壁に押し付けた状態で粉砕する。超微粉粉砕機のオングミルは、それまで困難であった乾式での連続サブミクロン粉砕(1ミクロン以下の粒子)を実現する技術。タルク等の鉱物原料で平均径0.5ミクロン程度の超微粉を作製した。

「メカノフュージョン」と粒子設計技術

1987年に同社がオングミルをベースに開発した画期的な微粒子複合化技術である。複数の異なる粉体材料を超微粒子化し、強力な機械的エネルギーを加えることにより材料同士の融合を図り、従来とは異なる性質の粉体材料ができるシステムである。混合でも化学反応でもなく、分子同士がくっついて融合することを複合化という。複合化は液体バインダ等を使用しない乾式での処理であるため、材料の組み合わせは、無機物、有機物、金属等と無限に広がり、これらの複合的な新機能を持った粒子が様々な分野で開発され、使用されるようになった。

当時、粉体業界、特に製薬業界では粒子設計という概念が注目され始めていたが、本装置を用いると、乾式で粒子レベルの複合化が可能となることが判明し、「メカノフュージョンシステム」が一気に注目されることになった。

複合化の例として、セラミックと金属を融合させることにより、両方の物性を併せ持つ物質を作り出すことができる。また、共に流動性の低いPMMA樹脂粉体と酸化チタンの微粉を処理すると、まるで液体のように流れる流動性の良い複合粉体が得られる。複写機のトナーは通常は流動性が低く、未加工のトナーを複写機に流すと凝固してしまうが、メカノフュージョンシステムで製造されたトナーは流動性が高い。この他にも二次電池電極材料、その他電磁気材料、化成品、医薬品等で活用されている。

「ノビルタ」

一般的な混合・分散は、対流、せん断、拡散の三つの作用によって起こるが、ナノ粒子を原料にして複合化を行う場合には、その非常に強い凝集力に打ち勝つ衝撃、圧縮、せん断などの粉砕装置のような機能を兼ね備えている必要がある。しかし、従来の混合機や機械的複合化装置の多くは、対流・せん断・拡散のいずれかに偏った機能しか持たない。あるいは、ナノ粒子を分散させるだけのパワーがないために、凝集塊が残存し、目的とする複合化粒子が得られない問題を抱えていた。これを解決するために開発されたのが、粒子設計加工装置の「ノビルタ」である。

ノビルタは、水平円筒状の混合容器内で特殊な形状のロータが高速で回転しており、衝撃・圧縮・せん断の力が粒子個々に均一に作用するように設計されている。このロータ形状と配列が、ナノ粒子を均一に複合するためのノウハウとなっている。回転数と運転時間の調節により、ナノ粒子の加工(精密混合、表面処理など)が実現できる。ノビルタ処理の適用例としては、リチウムイオン電池正極材・負極材、トナー、光触媒、ベアリング、ポリマー、電磁波シールド材、磁石、医薬品などの分野がある。

メカノケミカルボンディング(MCB)

機械的な力だけでなく、プラズマなどの物理的なエネルギーを加えることにより複合化し、従来存在しなかったような粉体材料のさらなる高機能化を目指す概念。2004年には、プラズマを使用して粒子表面の活性化、複合化の促進を図るメカノフュージョン機構を有した粒子設計加工装置(ナノキュラーP)を開発した。

ミクロンセパレータと複写機用トナー製造技術

同社が世界で初めて開発したミクロン単位の粒子を大きさ別に分ける分級技術。粉砕した粒子の大きさを揃える技術である。複写機やプリンタに使われているトナーは、高度な粉体技術を駆使して製造されている。同社がトナー製造に関連する設備として初めて製造・販売したのが1967年の気流式分級機「ミクロンセパレータ」である。

トナーの製造に当たっては、良質な画像を得るために、製品の粒子径分布を厳しく管理することが重要とされ、当初は5~25ミクロンの範囲に入ることが要求された。当時、この要求を満足できる装置は同社のミクロンセパレータのみであった。その後、同社はスーパーセパレータ(1979年)やミクロンジェット(1981年)などの機器を開発した。さらに、それまでに蓄積したエンジニアリング力を駆使し、原料の混合から最終の瓶詰め工程までの一貫したトナー製造システムを完成し、日本国内の殆どのトナーメーカーに納入した。

その後、衝撃型超微粉砕機「イノマイザ」(1995年)や、「ミクロンジェットMJT」(1997年)などを開発し、トナー製造技術は一段と向上した。複写機の性能向上に伴ってトナーの品質向上も求められ、平均粒子径は当初10数ミクロンであったものが、5~6ミクロン程度に微細化されるとともに、それ以下の微粉ダストを同時に除去することが求められるようになり、同社はこうした厳しい要求にこたえる技術開発を行った。

2000年代に入ると、カラートナーの普及が進んだ。色ごとに異なる性状を持つトナー原料への対応とともに、低温でも定着できるワックス成分複合トナーに対応できる低温微粉砕のニーズにも対応し、高冷却型機械式微粉砕機「グラシス」を開発した。また、同時期に開発されたメカノフュージョンシステムやノビルタを使い、シリカのナノ粒子を短時間でトナー粒子にコーティングすることにより、その流動性を大幅に向上させるなど、様々な高機能化が図られた。

また、トナーは粒子径分布だけでなく、粒子の形状が重要であるが、2003年に機械的に粒子を球形化する装置として球形型装置「ファカルティ」を開発した。

このように、同社グループのトナー関連粉体技術は、乾式複写機の進歩に大きく貢献してきている。

粉体特性測定装置「パウダテスタ」

同社は粉体物性評価装置の開発にも取り組んできた。最も多く販売されてきた測定装置が粉体特性測定装置「パウダテスタ」である。世界中に4,000台以上の納入実績があり、測定したデータは市場や業界の品質規格基準として認められている。

1965年に米国のRolph.L.Carr氏が、それまでは感覚的に評価されていた粉体の流動性と噴流性の数値化に関する論文を発表した。同社は、これらの数値を簡便に測定できる装置の製品化に着手し、1969年に独自の評価指標を加えて1台で流動性と噴流性の測定を簡単に行うことができる初代「パウダテスタPT-A」を世界で初めて開発した。

その後、パウダテスタはデジタル化された。1980年代に開発された「パウダテスタPT-N」は、マイコンと液晶ディスプレイを搭載し、デジタル技術で操作されるようになった装置である。1997年に開発された「パウダテスタPT-R」は、ウインドウズOSのパネルコンピュータを搭載し、画面に操作法を表示し、タッチ操作を可能とした。また、操作性や測定精度の向上を目的とし、レーザを用いた初の自動角度計測技術を構築した。2011年に開発された「パウダテスタPT-X」は、画像による角度計測をはじめ、駆動部のバリデーション(校正)対応や、測定者の粉塵暴露対策などにより、同社の世界戦略装置の一つとなった。

金属の混入がない微粉砕機「ACMパルベライザBC型」

同社は、二次電池正極材の加工を目的とした衝撃型分級機内蔵微粉砕機「ACMパルベライザBC型」を開発し、2016年から販売を開始した。衝撃型分級機内蔵粉砕機は、気流式分級機を内蔵し、製品粒子径制御が容易であり、豊富なオプションパーツによる処理材料の広範さに特徴がある。

二次電池正極材加工用のACMパルベライザBC型は、粉体が接触する部分全てにセラミックス部品を用いることで、摩耗による金属コンタミネーション*1を防止している。二次電池材料は、金属コンタミネーションが安全性に直結するため、材料加工装置にはシビアな品質が求められる。また、二次電池材料加工関連設備の需要が高まる中国、韓国などの海外市場での拡販を目的に、主要部品の構造を見直し、可能な限りシンプルな設計を行い、装置のイニシャルコストの低減を図っている。

*1金属コンタミネーション:金属粒子が粉体製品へ混入すること。

ナノパーティクルテクノロジー

1980年代、同社はナノレベルの金属微粒子を作製する金属微粒子発生装置を開発した。これは、機能性を持った超微粒子の作製を目指して科学技術庁金属材料研究所で開発された技術を活用したものであったが、当時はこれらの超微粒子のニーズが産業化に生まれておらず、殆ど市場に受け入れられなかった。その後1990年代に入り、超微粒子を用いた材料ビジネスへの参入を目指し、国内外の様々な新規技術の導入を積極的に進めてきた。

2000年代には、同社独自のナノ粒子合成装置「ナノクリエータ」を開発した。液体原料を混合しておくことから、様々な組み合わせと組成比の複合ナノ粒子を作製することができる。また製品純度が高く、量産性も有する技術である。2005年には㈳日本セラミックス協会より本技術が評価され「技術賞」を受賞した。同じく2000年代には、PLGA*1ナノ粒子を用いたDDS*2製薬化技術の開発を進めた。同社はPLGAナノ粒子の研究過程において、PLGAナノ粒子は肺胞や腸壁からだけでなく皮膚からも効果的に吸収、分解されることを確認した。これにより、「PLGAナノ粒子をキャリアとして必要な薬物を必要な部位に必要量送り届ける」というDDS**のコンセプトに基づく化粧品や育毛剤が開発され、「ナノインパクト」や「ナノクリスフェア」などの最終商品をホソカワブランドで販売している。

*1PLGA:ポリ乳酸グリコール酸共重合体。
*2DDS(Drug Delivery System):製剤化技術の一つ。

さらに、この技術はカテーテルやステントなどの医療デバイスを始め、大学や製薬メーカーと連携して、様々な分野への応用展開が進められている。2002年には、第1回国際ナノテクノロジー総合展・技術会議(nano tech 2002)において、同社のこれらのナノパーティクルテクノロジーの展開が評価され、「第1回ナノテック大賞」を受賞した。

様々な粉体技術の活用例

医薬品

抗がん剤の製造:抗がん剤は数ミリグラムで人体に影響を及ぼすため、粉に触れずに製造することを可能にする。封じ込め装置(アイソレータ)と粉砕機等を組み合わせて解決する。

QOL(生活の質)の向上:苦さのない薬や、水なしで飲める薬(OD薬)を製造する。錠剤にする前の、100分の1ミリ以下の薬を一粒づつコーティングして解決する。

体に吸収されやすくする:近年の新薬の大半は体に吸収されにくい物質であることが多い。1,000分の数ミリに粉砕すると体に吸収されにくい薬の成分が吸収されやすくなる。

5G・CASE(電子部品と電池・モータ用磁石)

同社グループの粉体技術(粉砕、分級、球形化、コーティング、測定、供給排出など)が、電子部品や電池、磁石材料の製造などの幅広い分野に活用されている。

頭脳であるIC、LSIを外部環境から保護する封止材の原料(エポキシ樹脂、シリカ、カーボンブラック)、リチウムイオン電池の電極材料原料、EVや風力発電に不可欠なネオジム磁石の製造システムに同社の粉体加工技術が利用されている。

プラスチックの高機能化

成型品:電子部品の耐熱性向上や強度向上、残留溶剤の除去などを実現する乾燥装置と技術、強度向上のための固相重合などに粉体技術が貢献している。液晶ディスプレイや精密写真に代表される光学用フィルムにおいて、透明性や汚れの有無、膜厚の均一性は最終製品の品質に直結する。本用途に用いられるPET(ポリエチレンテレフタレート)は、粒状の固体(ペレット)の段階で超低水分域数十ppmまで乾燥させなければ、フィルム状にする工程で切れるなどの問題を生じる。また、乾燥だけでなく均等な結晶化を行わないと膜厚が均一にならない。当社の乾燥システム(DRS)は、これらの問題を全て解決するシステムとして最適である。

薄膜:インフレーション法*1によるフィルムが、保存性の高い食品包装用高機能フィルムや、伸張性や高強度が求められる通販の梱包用フィルムなどに活用されている。

*1インフレーション法:特性の異なる各種樹脂を円筒状、かつ多層構造に押し出し、その中に空気を吹き込んで膨らませてフィルムを作る製法。

同社グループの主な製品

粉砕・分級装置
粉砕機

粉砕とは、ある大きさの固体材料に何らかのエネルギーを加えて、元の大きさよりも小さくする操作のことである。粉砕によって固体材料の大きさが小さくなると、その固体の表面積が大きくなり工業プロセスでの効率を高めることができる。粉砕の別の目的として、いくつかの成分を含んだ塊では、それを小さくすることによって必要な成分を選択的に取り出すこと(分級)ができる。また、いくつかの材料を混ぜる(混合)時には、大きな塊を混ぜるよりも一粒の大きさを小さくして混ぜる方が均一になる。

粉砕機には、ハンマを回転させて粉砕する衝撃型粉砕機(ハンマミル)や、高圧空気の衝撃で粉砕するジェットミルがある。ジェットミルは装置自体が発熱せず、内部で発生した熱も空気によって機外へ排出されるので、熱に弱い材料を粉砕する場合に用いられる。粉砕機には乾式と湿式があるが、同社の粉砕機はほとんどが乾式の装置である。

分級機

分級とは、粉体をその大きさによって、大きな粒子のグループと小さな粒子のグループに分ける操作のことである。粒子の大きさを揃えることによって粉体の性質が変わるので、その特徴を活かして性能・品質を向上させるなど、製品の付加価値を高めることが分級の目的である。

固体材料にエネルギーが加えられて発生した微粉は、一般的に粒度分布の幅が広い。粉砕を続けると粒度は細かくなっていくが、目的とする粒度に達した粒子をいち早く機外へ取り出すことが粉砕効率を高める良い方法である。分級のプロセスは、細かくなった粒子だけを取り出し、粗いものは分級によって装置内に滞留させて粉砕をすることである。そのためには、粉砕機自体に優れた分級機構を持たせることが効果的であり、分級機構を持つ粉砕機が多く製造されている。

分級機は、様々な大きさの粒子の集合体である粉体を、その大きさによって分けることで同じような大きさの粒子の集まりにすることができる。あるいは、細かい粉の中に混入していた大きな粒子を除くことができる。

衝撃型分級機内蔵微粉砕機
(ACMパルベライザ*1)

衝突型ジェットミル
(ミクロンジェットT型 MJT*2)

流動層式対向型ジェットミル
(カウンタジェットミル ® AFG-CRS*3)
会社HP

*1ACMパルベライザ:高性能分級機を内蔵した衝撃型微粉砕機で、医薬や食品、化学、樹脂、鉱物など世界中で数多く使用されている。一般に、衝撃型微粉砕機は、イニシャルコスト及びランニングコスト(電力コスト)両面において、ジェットミルよりコストパフォーマンスは高い。ACMバルペライザは、国内でも2,500台におよぶ納入実績を持つ。高い粉砕性能と分級機の回転速度の変更で容易に目的の粒子径の製品を得ることができる長所があり、広範囲の原料の微粉砕に用いられる。原料は機内に定量供給された後、高速回転するハンマ(粉砕ロータ)と固定された溝付きライナの隙間に入り込み、双方の衝撃作用によって粉砕される。細かくなった原料は、気流に乗って分級部に運ばれ、分級ロータにより分級される。粗い粒子は分級ロータの旋回による遠心力ではじかれ、再度粉砕部へ送られる。十分に粉砕されて微粉化した粒子は気流による向心力で分級ロータの内部を通過して製品として集塵機で回収される。
製品の平均粒子径が10μmから100μmに適したACM-A型と、平均粒子径が数10μm以下に適した高速型(周速130m/s)のACM-H型、微量のハンマ摩耗くずの混入を防止する耐摩耗型セラミック仕様のACM-HC型などがある。ACM-BC型は、リチウムイオン電池の正極材料加工に特化した装置である。リチウムイオン電池材料の加工では、金属の混入物が製品の品質や安全性に大きな影響を与える。そのため、粉が接触する部分にはセラミックス製の部品を用い、部品の摩耗による金属の混入を防止する設計となっている。一般に、衝撃型微粉砕機は、イニシャルコスト及びランニングコスト(電力コスト)両面において、ジェットミルよりコストパフォーマンスは高い。

*2ミクロンジェットT型 MJT:圧縮ガスによる粒子の衝突を利用したジェットミル。ジェットミルは微粉や超微粉を製造する場合に用いられる。また、発熱しない特性から、熱に弱い原料を粉砕する際にも用いられる。ジェットミルはコンプレッサーを併用するため、電力コストが嵩むが、独自の衝突機構を備えたエネルギー効率の高いジェットミルである。
同機は、ケーシング部中央に分級ロータを配置し、ケーシング部下部に粉砕ノズル(原料を含む高圧エアーの吹出口)とターゲットを配している。機内に供給した原料を粉砕エアーで音速近くまで加速し、ターゲットに衝突させて粉砕する。所定の粒子径にまで粉砕された原料だけが分級ロータを通過し、製品として回収される。未粉砕原料はケーシング外壁に沿って旋回し、再度粉砕エアーによって加速され、衝突粉砕される。
粒子の相互衝突で粉砕が進行する流動層式ジェットミルでは、粉体を機内に滞留させなければならないため、粉体の残留が生じて付加価値の高い原料ではランニングコスト面の課題があった。本機はシンプルな構造としたことで機内残留がなく、ランニングコストも抑えることができる。この工
程は、近年、不活性ガスによる酸化反応を抑えた粉砕システムとして応用され、窒化物等のセラミックス原料、ネオジムなどの磁性材料、化粧品等の高付着性原料のような高機能性材料の製造に利用されている。

*3カウンタジェットミル ® AFG-CRS:超高性能分級機構を搭載した超微粉砕機である。分解・メンテナンス性に優れ、粉砕原料の変更がある場合などに適している。分級ロータ内部に発生する半自由渦の効果を十分に発揮できるように最適化した分級構造を流動層式対向型ジェットミル上部に配置している。セラミックス仕様により、金属コンタミが回避できる。マルチホイール化による製品粒子径を保ったスケールアップが可能。用途例は、電子材料・電子部品材料( ガラス、封止材等)黒鉛・コークス(キャパシタ、負極材、等)、活性炭、ミネラル(炭酸カルシウム、タルク等)。

混合機

混合機とは、複数の粉体をムラなく均一分布になるように混ぜる装置のことである。乾燥機とは、粉体の水分を乾燥させる装置のことである。

錐型混合機
(ナウタミキサ*1 NX*2) 
連続式混合機*³


円錐形高速混合機
(バイトミックス™ *4 VX*5)
会社HP

*1ナウタミキサ:逆円錐型の固定されたケーシングの内壁面に沿って自転、公転するスクリューを持つバッチ式混合機で、2万台以上の納入台数を持つ世界中で最も数多く使用されている粉体混合機である。製品の排出が容易で残留物が少ないことや、水洗が簡単で多品種の対応が容易なことなど多くの特長を持つ。粉体と粉体、粉体と液体の混合はもとより、加熱・乾燥・反応・冷却などの機能を付加して多用途に活用できる。

*2NX型:小型機から超大型機まで豊富なバリエーションがあり、多数の納入実績と高い基本性能を持つナウタミキサのオリジナル機である。

*³連続式混合機:連続で定量供給された2種類以上の粉体または粉体と液体を水平円筒ケーシングの中で高速回転する複数のパドルによって均一に混合・分散する連続式の混合機。パドルの周速は20〜30m/sと高速のため、その衝撃によって凝集塊のある原料でもむらなく短時間で分散できる。粉体同士の混合のみならず、凝集塊を生じ易い液体混合・分散での使用例も多い。低速回転混合機では困難であった均一混合を行えるので、低速回転混合機の後の仕上げ混合機としても使用できる。衝撃・せん断力や滞留時間の調整は、回転数、パドル角度、クリアランスの調整によって行う。また、パドルのセッティング変更や清掃が容易にできるようケーシングを2分割に両開きできるタイプ(TCX型)もラインナップする。オプションとして、加熱冷却用のジャケット付きタイプや付着防止用にケーシングにフッ素樹脂を装着したタイプもある。

*4バイトミックス:ナウタミキサの特長を残しながら、粉体に強い力を加えることもできる新機種として、ホソカワミクロンB.V.が開発し、同社グループ全体で販売している装置である。2本のリボン状スクリューで粉体全体を大きく攪拌し、素早く混合する。粉体の損傷が少ない低速運転から、混合速度や粉体へ加える力を大幅に高めた高速運転まで対応することが可能である。例えば、即席マッシュルームスープを製造する場合は、小麦粉、澱粉、粉ミルク、香辛料、塩などの微粉原料を同機で中程度の力で速やかに混合し、その後、香料や油脂分などの液体原料を添加・混合する。この際、ダマになるのを防ぐため、高速で強い力を加えて混合する。最後に、乾燥マッシュルームや乾燥ネギを加え、あまり力を加えずにふんわりと混ぜ合わせて完成する。従来、製造には数種類の機器を必要としたが、同機では1台で処理することができ、全体の処理時間も従来システムの6分の1から8分の1に短縮することができる。

*5VX型:逆円錐型ケーシングの内壁面に沿って自転・公転する2本のリボン形スクリューを持つバッチ式混合機で、ナウタミキサの機構を基に、その混合速度を大幅に高めるために開発された粉体用混合機である。従来のナウタミキサと同等のソフトな混合から、高速分散やせん断力の高い混合まで対応する。混合効率を考慮した容器設計によって、従来のナウタミキサより低い全高を実現した。逆円錐のケーシング形状とデッドスペースを極限までなくした設計と専用の底部排出弁(ボールセグメントバルブ)を採用したことで、残留物がほとんどない排出を可能にした。機内清掃や内部確認が容易に行えるようケーシング側面にビッグドアを標準装備する。使用目的は、粉体と粉体または粉体と液体の混合であるが、ナウタミキサの代替として処理能力向上や高せん断力の混合、少量多品種の混合に適する。

乾燥機

原料に熱を与えて、湿分を蒸発させ、乾粉を取り出す機械が乾燥機である。粉粒体の温度調節にも利用される。

直接加熱型気流式乾燥機
(ドライマイスタDMR-H*1)